少年の「問題」/「問題」の少年
逸脱する少年が幸せになるということ
少年の「問題」/「問題」の少年
逸脱する少年が幸せになるということ
著者:松嶋 秀明
四六版 228頁
出版社: 新曜社
言語: 日本語
ISBN 978-4-7885-1642-7
発売日: 2019/9/2
書籍内容
「やりたい放題」にみえる「問題」の少年たちは、「問題」をかかえた少年たちでもある。「荒れた」学校でのフィールドワークとインタビューを通して、少年と教師、教師同士の「関係性」をとらえ、何が彼らの幸せにつながるのかを探る。
目次
まえがき
第1章 反社会的な「問題」行動をする少年をどのように支えられるのか
第1節 少年問題の個人化
少年に厳格に接することを求める社会
非行少年と社会的排除
少年問題の「個人化」が見落とすもの
「問題」が問題であって、人が問題ではない
第2節 非行少年のレジリエンスを育てよう
レジリエンスは育てられる?
レジリエンスは少年に幸せをもたらすか?
本書が前提とする視点
第2章 教師は生徒指導をどのように体験しているのか?
第1節 「生徒指導主事」という仕事
「生徒指導主事」という仕事
教師の語りをきく
省察的実践家としての教師
第2節 インタビュー調査からみえてきた生徒指導イメージ
インタビュー調査の概要
教師と生徒との対等な関わりとは何か
教師でありつつ人間でもある─ソウ先生の物語
第3節 生徒指導観の転換
あれ、君は立派な大人だなあ
生徒は人格をもって、最高に大切な存在です
第4節 生徒指導はむき、不むきなのか?
「失敗」がもつ生成的なポテンシャル
「よからぬ未来への不安」と、「個人的失敗」
「個人的失敗」から、新たな生徒指導の創造へ
個人の教師の語りが埋め込まれた実践の探求の必要
第3章 「問題」生徒をかかえる学校内の連携
第1節 「チーム学校」の陥穽
多職種連携
学校が居場所にならない子どもたち
第2節 支援者から支援チームへ─リツコ先生の物語
リツコ先生とT中学校
生徒の気持ちがわかるようになるということ
サポートチームとすすまない会議
理解されていない、の相互的達成
第3節 チームへの変革
怠学傾向から不良行為がみられたサトル
危機から回復へ
第4節 バフチンの対話論
ダイアローグをつきうごかすもの
ダイアローグを膠着させるもの
モノローグから抜け出す起爆剤としての生徒の声
第4章 「問題」生徒をかかえる学校――警察連携
第1節 警察との連携は学校に何をもたらすのか
補導職員の二重のアイデンティティ
第2節 生徒指導主事の先生の語りから
警察との連携をめぐる教師の不満
警察との連携による「教師ができること」の再定義
警察との連携による学校にとっての「問題」のとらえ直し──テツヤの事例
第3節 警察と学校との連携がもたらすもの 1
パワーかリフレクションか?
垂直的問題解決から、水平的な問題の解消へ
第5章 学校の「荒れ」と反社会的な問題行動をする生徒たち
第1節 学校が荒れるということ
学校とのつながりと非行
X中学校における「荒れ」の状況
「問題」を助長する学級の雰囲気
廊下のサバイバル─廊下にい続けられるということ
「一般の生徒を育てる」という方針と教師集団のまとまり
第2節 「信頼感」の構築過程の分析
衝突からみえてくるもの
衝突にみられる希望─関係性の萌芽
異なる介入の可能性はなかったのか?
生徒の辛さがわかってくるということ
第3節 教師の変化、学校の変化
非行生徒を取りまく教師の変化
まとめ
第6章 反社会的な問題行動をおこす生徒が幸せになるということ
第1節 二人の生徒の軌跡から立ち直りをみる
同じ出発点、異なる結末
アキの経路
第2節 誰にとっての適応か――「荒れ」「いじめ」をおさめる同調圧力
第3節 誰が何に適応したのか
「適応」がうみだす「不適応」
「不適応」がもたらす転機
時空間の拡張と、学校にくる意味の変化
第4節 反抗を包摂し、自立へと導く指導
セイトを生徒にする実践と、非行生徒
「反抗」から「自立」へ
第7章 境界線上で少年のレジリエンスを育てよう
「問題」になることと、教師であること
生徒と教師という役割をこえていくこと
反社会的な生徒が幸せになるために
境界をつくる実践、境界をまたぐ実践
異質なものが出会い、共存すること
少年のことは少年にきいてみよう
あとがき
引用文献