健康と幸福に関する調査結果のコミュニケーションにMAXQDAを活用 - グローバル・ヘルス・プロジェクトの例

MAXQDA Research Blog 翻訳版

Guest post by Jessica Penney (Tuesday, April 23, 2019)

私の #ResearchforChange フィールドワーク日記、最終回にようこそ!この投稿では研究結果と、そこに至るまでにMAXQDA2018がどのよう役立ったか説明したいと思います。そして、カンファレンスや執筆物など、結果を伝えるコミュニケーションのためにMAXQDAをどう活用したかをお話します。

最初に 私のプロジェクトの背景 を少し説明します。「 “The safety that was, is gone”: Muskrat Falls and Labrador Land Protectors’ Changing Health and Wellbeing (かつては存在し、今は失われた安全 -マスカラット滝と、ラブラドール・ランド・プロテクターズの健康と幸福の移り変わり)」と題した私の研究は、MSc グローバル・ヘルス学位論文でした。プロジェクトは2018年夏に開始し、カナダ ラブラドール州 ハッピーバレー・グースベイ(国の東北に位置)マスカラット滝の水力発電建設への抗議活動をしているラブラドール・ランド・プロテクターズという草の根運動が表明する健康上の懸念について探索しました。この建設プロジェクトは、地域住民の食料調達や文化的活動欠かせない、水や動物のメチル水銀含有量を危険な水準まで引き上げると見込まれています。

マスカラット滝プロジェクトに抗議するラブラドール・ランド・プロテクターズ (Photo courtesy of the Land Protectors’ Facebook page)

研究法と分析方法論

Indigenous Research Methodsに沿って研究を進めました。詳しくは私のフィールドワークダイアリー第一回投稿でお読みください。データ収集には、半構造化面接、フォーカス・グループ、タブレットで収集した短いサーベイが含まれます。ブログの第二回投稿で説明していますが、分析はグラウンデッド・セオリーとフレームワーク分析を折衷し、中間解析と内容分析の組み合わせで行いました。

インタビューやシェアリング・サークルを録音し、MAXQDAで書き起こし、それから詳細にコーディングしていきました。また、MAXQDAの電子メモ機能を使い、インタビューをサマリーする全体的な分析も行いました。ここまでプロセスを述べてきましたので、ここからは私が得た結果と、それらの結論を伝えるためにMAXQDAがどのように役立ったかを説明していきます。

主な知見

MAXQDAに支えられた分析により、調査から3つの主な知見を得ることができました。以下はサマリー・レポートより引用しています:

  1. 参加者たちは、自身の、そしてコミュニティの健康と幸福が、これまで経験したことのない不安にさらされていると懸念している。

    これは予想されるメチル水銀汚染のため、そして水力発電建設プロジェクトの失敗によりコミュニティが洪水に襲われると信じているためのものです。参加者たちは、彼らの心と身体の健康に、また、彼らのコミュニティ全体の幸福に対し、これらの懸念がどのように影響を及ぼすか述べています。

  2. 健康と文化的変化の概念は環境変化と関連して理解され、それはその土地に古くからある健康と幸福の概念に密接に結びついている。
    参加者たちは、ラブラドールのランド・プロテクターズの文化的伝統に環境は不可欠のものであり、マスカラット滝プロジェクトによる破壊は文化を継続させるための健康保持に否定的な影響を与えかねないと強調しています。

  3. 参加者たちはプロジェクトの推進を決定した民主的プロセスに失望しており、植民地主義が進行しているように感じている。
    参加者たちは政府に対し不満を持ち、また、無視されていると感じており、マスカラット滝プロジェクトの意思決定を、ラブラドール州の長年にわたる父権主義政策と結び付けています。

    ラブラドール ハッピーバレー・グースベイ グランド川

調査結果を伝える重要性

調査結果を共有することは学術のコミュニティにおいて重要であり、また同時に、調査参加者たちと互いに恩恵を分かち合い関係性を保つためのカギでもあります。このセクションでは、私が学術研究者とのカンファレンスやワークショップで、また草の根運動のイベントで、どのように調査内容を共有したか概要を説明します。同時に、この研究を可能にしてくれた参加者たちに対し、さらに共有するための計画についても述べていきます。

2018年9月、MSc グローバル・ヘルス学位論文を提出し、その月に3つのイベントで発表しました。最初のワークショップはエディンバラ大学で「社会規範と健康」というタイトルで行われたもので、マスカラット滝プロジェクトが食糧源を汚染するという迫りくる脅威とともに、文化的規範や健康の変化について、参加者たちがどのように語っているかを発表しました。参加者の一人、Jim Learning(全ての参加者から名前の使用に関する同意書面を得ています)は以下のように述べています:

「食料供給の安全性を疑問視するようになってしまいました。それは心理的な要因で、克服するしかありません。無視するか、もしくはそこから得られるタンパク質への期待値を下げるか・・・そこが問題。そう。これが私の生活への影響です。かつての安全性への認識が変わりました」

このイベントの翌週、British Sociological AssociationのMedical Sociology Conferenceで発表しました。ここでは環境変化が健康と幸福の概念にどう影響しているかに注目しました。

この月の最後の発表は、カナダのニューファンドランドメモリアル大学で行われたマスカラット滝シンポジウムでした。このイベントは学際的で、アーティストやコミュニティのメンバー、そして私のような研究者からの発表がありました。

マスカラット滝プロジェクトが先住者の生活にどのように影響するか、他3名のスピーカーとともにパネルで発表。左から右へ:Tracey Doherty、 Jessica Penney、Shiri Pasternak、Denise Cole
(Photo by Stephen Miller, CBC News, 2018)

発表以外では、カナダ国政放送CBCラジオのインタビューでラブラドール・ランド・プロテクターズに関する調査について話しました。上述の通り、調査結果の全体像をお読みいただけるサマリー・レポートも公表しています。

調査結果の発表にMAXQDAを利用

イベントはそれぞれ、似通ってはいるものの少しずつ異なる点に着目しています(社会規範、健康と幸福、そしてマスカラット滝プロジェクトの影響全般について)。そのため私は、MAXQDAを使い、それぞれの発表で共有したい調査結果を端的に表すコード付セグメントを、素早く簡単に特定しました。

そのための方法の一つは作成したコードシステムの利用です:

2つのテーマをハイライトしたMAXQDAのコードシステム

例えば、環境と健康の関係を明らかにするインタビュー中の発言を探すには、2つのコードを1クリックし自動的に検索された発言をMAXQDAの[検索済セグメント]ウィンドウで確認するかまたは、さらに深い分析にMAXQDAの[インタラクティブな引用マトリックス]を使用します。

後者の機能は「Environment Themes(環境テーマ)」「General Health/Wellbeing Themes(健康/幸福テーマ全般)」に関連し、コードまたはサブコードにテキストのどの部分がコーディングされているか確認できます。MAXQDAの[インタラクティブな引用マトリックス]を使うと、発表を特定のトピックに着目したものとして調整することができ、調査内容を効率よく効果的に伝えることができます。また、全ての結果をExcelにエクスポートし、以下のようにテーブルで確認することも可能です:

引用マトリックスをExcelにエクスポートしたものの抜粋

今後の予定

4月に行われるBritish Sociological AssociationのAnnual Conferenceでこの調査について発表します。今年はさらに多くの時間をラブラドール州で過ごし、5月のLabrador Research Forumでの発表を予定しています。現地にいる間にラブラドール・ランド・プロテクターズのシェアリング・サークルにも参加し、調査結果を直接伝えようと思っています。このCommunity-Engaged Research 部分は、調査参加者たちからのフィードバックを得る場として、私にとってはとても重要です。

See Jessica Penney’s Webpage

ランド・プロテクターズの最新情報は、彼らのFacebookページまたは、 Twitterでご確認いただけます。

マスカラット滝プロジェクト現場付近の鳥の群れ

Editor’s Note

Jessica Penneyは2018 #ResearchforChage 助成金受領者の1人です。PennyはPh-Dレベル外の学生として初めてのMAXQDA研究助成金受領者であり、UK ブラスゴー大学MSc グローバル・ヘルスに所属する学生です。

彼女は、「Land Protectors’ Understandings of Health in Relation to the Muskrat Falls Project and Protests(マスカラット滝プロジェクトに関連するランド・プロテクターの健康に関する理解)」と題した調査プロジェクトのためのフィールドワークを、2018年夏、カナダのハッピーバレー・グースベイで実施しました。この投稿は彼女のフィールドワーク日記最終回です。Jessica Penneyが歩んでいく研究の道に幸多からんことを!

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