観光人類学のフィールドワーク

観光人類学のフィールドワーク
ツーリズム現場の質的調査入門

市野澤潤平、碇陽⼦、東賢太朗 編著
単行本(A5) : 312ページ
出版社: ミネルヴァ書房
言語: 日本語
978-4-6230-9188-1
発売予定日:2021/5/19

書籍内容

本書は、観光人類学の教科書としてフィールドワークの⼀般的な解説部分とテーマ/対象ごとに調査の具体を⽰す事例部分との⼆部から構成される。
フィールドワークを専⾨的に学ぶわけではない人にむけての実践的で役立ついわばフィールドワーク教本として、フィールドや事例にもとづきながら、「観光の調査」の具体について主要な概念や理論を踏まえて解説する。

  • フィールドワークの基本を解説
  • テーマ/対象ごとに調査の具体を⽰す
  • 観光人類学の主要な概念や理論を踏まえた記述

目次

はじめに──本書のねらいと特長

 第Ⅰ部 人類学的フィールドワークの方法論

第1章 フィールドワークの事前準備(碇 陽子・市野澤潤平)
 1 人類学的フィールドワークとは
 2 基本的な考え方と「型」を知ろう
 3 どこで何を調べるか──具体と抽象の関係
 4 研究計画を立てる

第2章 フィールドにて:基礎編──調査現場で何をどうするか(碇 陽子・市野澤潤平)
 1 「現場」に入る
 2 参与観察
 3 フィールドノート
 4 聞き取り
 5 その他の情報収集手段
 6 現地の人々との関係──調査の心がけと倫理

第3章 論文を書く(碇 陽子・市野澤潤平)
 1 論文で「現場を描き出す」という目標に向かって
 2 質的データ分析の方法
 3 論文の作成
 4 フィールドワークと書くこと

第4章 フィールドにて:上級編──身体を使って理解する(土井清美)
 1 自分の人生の一部を賭す方法論として
 2 拡大する観光人類学の射程
 3 フィールド=場所を調査する
 4 身体を使う
 5 理論的背景──「客観的であること」を超えて

第5章 サイバーフィールドワークに出かけよう(吉井千周)
 1 サイバーフィールドワークとは
 2 サイバーフィールドワークへの道しるべ
 3 Google Mapsを利用した疑似巡礼
 4 ネットワークコミュニケーション分析とその限界
 5 BB分析の実際──計量テキスト分析の手法
 6 サイバーフィールドワークの可能性

第6章 実務におけるアウトプット──ビジネス人類学/ビジネスエスノグラフィーの観点から(伊藤泰信)
 1 人類学的調査・研究を用いた実務・実践
 2 勉強・研究・実務
 3 エスノグラフィーを用いたふたつの問題解決のタイプ
 4 ある企業での実践事例をめぐって
 5 問題解決の仕方をめぐって
 6 多様な実務的課題に向けて


 第Ⅱ部 国内における事例集

第7章 旅行会社でのフィールドワーク──「マイナーだけど身近な」企業の現場を調査する(鈴木涼太郎)
 1 観光関連企業の現場での調査
 2 マイナーなフィールド?──企業での調査へのハードル
 3 身近で気軽なフィールド?──「お客様」,アルバイト,インターンシップ
 4 旅行会社のカウンター業務の調査事例
 5 大学生のフィールドワークのために

第8章 芸術祭のフィールドワーク──学生の調査から観光まちづくりを問いなおす(越智郁乃・鍋倉咲希)
 1 観光まちづくりの広がり
 2 芸術祭と観光まちづくり
 3 芸術祭を調査する──ゼミによる調査を通じて
 4 まちづくりの現場から「観光」について考え直す

第9章 祭り×観光のフィールドワーク──観光資源化する東北地方の祭り(安藤直子)
 1 祭り−観光で何が起きたか
 2 祭り×観光のフィールドワークは楽しい
 3 祭り×観光のフィールドで何をどのように眺めるか
 4 フィールドワークに出かける前に
 5 さあ,フィールドワークに出かけよう

第10章  農村景観を活かした観光まちづくりのフィールドワーク──京都府美山町の地域振興( 堂下 恵)
 1 観光まちづくり
 2 観光まちづくりのフィールド選び
 3 美山町でのフィールドワーク
 4 実際のフィールドワーク──美山町での調査から
 5 フィールドワーク後の紆余曲折

第11章 災害と観光──東日本大震災の被災地における「ダークツーリズム」(内尾太一)
 1 災害と観光の交わるところ
 2 宮城県南三陸町へ
 3 防災対策庁舎
 4 チリ・イースター島から贈られたモアイ
 5 フィールドからダークツーリズム概念を揺さぶる


 第Ⅲ部 訪日インバウンド観光と国外における事例集

第12章 訪日外国人観光客の実態──訪日ツアーに同行する(田中孝枝)
 1 訪日外国人観光客を調査する難しさ
 2 「旅ナカ」へのアプローチ
 3 訪日ツアーへの同行
 4 「旅マエ」と「旅アト」への接近
 5 訪日外国人観光客との接点

第13章 ビーチリゾートで調査をする──日常と非日常のあいだで(東 賢太朗)
 1 ビーチリゾートがフィールドになる
 2 ビーチリゾートで調査することの難しさ
 3 ボラカイ島に生じたふたつの事件
 4 ビーチリゾートで調査する人たちのために

第14章 観光開発の現場でのフィールドワーク──調査者が直面する問題とその解決策(小河久志)
 1 観光開発とフィールドワーク
 2 観光開発の表と裏
 3 フィールドワークで直面した問題
 4 困難にどう対応したか,どう対応すればよいのか
 5 海外の観光開発の現場でフィールドワークをする意義と醍醐味

第15章 エコツーリズム・プロジェクトの現場──インドネシア・バリのローカルNGOにおけるフィールドワーク(岩原紘伊)
 1 エコツーリズムとNGOプロジェクト
 2 研究テーマの変更とNGOプロジェクトとの出会い
 3 NGOで調査を始める
 4 NGOのプロジェクトを調査する技法
 5 プロジェクトと観光のあいだで

第16章 スペインの巡礼路を歩く旅──現象学的フィールドワーク(土井清美)
 1 フィールドとフィールドワークの概要
 2 自らの行動を周囲の状況に合わせていくこと
 3 観光と巡礼──軽い話の重さ
 4 フィールドワーク上の不全感をどう扱うか
 5 フィールドワークはたんに知りたいことを知る方法ではない
 6 フィールドの内外ではなく遠近

索 引

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