フクシマの医療人類学 ──原発事故・支援のフィールドワーク

フクシマの医療人類学
──原発事故・支援のフィールドワーク
辻内琢也・増田和高 編
単行本(ソフトカバー):334ページ
出版社: 遠見書房
言語: 日本語
ISBN: 978-4-86616-080-1
発売日: 2019/2/1

書籍内容

生きることを諦めない
原発事故で避難してきた人々の記録

この本は、前例のない事態において長く続く厳しい状況を生き抜く人々の記録であり、同時にそうした状況に際して、臨床的アカデミズムがいかにふるまうべきなのかを問いかける記録でもある。

福島・浜通り。2011年3月の東日本震災と、その直後に起きた福島第一原子力発電所の事故によって,避難と転居を余儀なくされた多くの人々。本書は、彼らへの支援とフィールドワークを行った医師で医療人類学者 辻内琢也と,その同僚たちによる記録である。

辻内らは、事故直後から埼玉県に避難してきた人々とのかかわりを始め、まずは医療者、臨床家として心を配り、その後、長く続く裁判や補償問題にまで携わっている。そのかたわら被災者のやりきれない気持ちと怒りと嘆きを受けとめ、多くのインタビューを行ってきた。

医療人類学者は、この事故に何を見たのか。フクシマの過去、現在、未来をつづる。

目次

第1章 二〇一一年三月一一日 辻内琢也
第1節 はじまりの物語り
第2節 壮絶な原発事故避難体験の質感をどう記述するか

第2章 フィールドワークin埼玉 辻内琢也

第3章 エスノグラフィー「被災者の生の声に寄り添う」 増田和高

第4章 インタビュー「多領域協働による社会的ケアの実践」 辻内琢也
第1節 インタビューの手続き(金 智慧)
第2節 支援者の語りから

第5章 エスノグラフィー「格差と分断による呻き声」 辻内琢也
第1節 原発事故から3年、新たなフィールドに入る
第2節 原発事故被災者の精神的損害
第3節 賠償格差から生じる人間関係の分断(文:白沢康介、久場寛人、辻内琢也)
第4節 震災関連死と震災関連自殺

第6章 インタビュー「復興に向けた歩み」 監修 増田和高
第1節 自助ボランティア活動運営者の語りから(文:竹永奈緒子)
第2節 三人のママの語りから(文:萩原万智)
第3節 『双葉郡未来会議』参加者の語りから(文:鈴木悠紀)
第4節 復興支援員の語りから(文:関茉衣子)
第5節 インタビュー調査から見えてきたこと(文:増田和高)

第7章 パネルディスカッション「予想される分断と切り捨てに対する支援のあり方」 辻内琢也
第1節 「分断と切り捨て」の現場からの報告
第2節 原発事故被害の隠れた構造を考える
第3節 「分断と切り捨て」にどう対峙するか

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