いじめ・暴力に向き合う学校づくり

対立を修復し、学びに変えるナラティブ・アプローチ

いじめ・暴力に向き合う学校づくり
対立を修復し、学びに変えるナラティブ・アプローチ

著者:ジョン・ウィンズレイド(著/文)マイケル・ウィリアムズ(著/文)綾城 初穂(翻訳)

A5判並製272頁
出版社: 新曜社
言語: 日本語
ISBN 978-4-7885-1491-1
発売日: 2016/9/25

書籍内容

◆もう一つのストーリーを探せ!
 集団があれば、対立がつきものです。学校も例外ではありません。いじめや暴力は許さない、という目標をかかげて規律を厳しくしても、効果は望めません。対立をなくすのではなく、悪くなった関係性を修復する仕方を身につけることが重要です。対立の背景は様々ですから、その方法は1つではありませんが、当事者たちやまわりの人々が対立をどうとらえているか=ストーリーがポイントです。本書で詳しく紹介される関係修復の方法を学校で取り入れ、学べば、その後に出会う対立に対処してゆく一生の財産になるでしょう。

『本書では修復的実践、ナラティヴによるメディエーション、アンガーマネジメントグループ、秘密いじめ対策隊、カウンセリングといった実践が扱われている。それぞれの実践の有効性については先行研究から支持されているが、複数の実践を一つにまとめるというアイデアはまだ萌芽の段階にある。こうした実践の有効性の検証に取り組んでも良いという学校があれば、ぜひ一緒に活動したい。とはいえ、その場合でも、優先すべきなのは研究よりも実践であり、研究が実践を主導するのではなく、実践が展開してからその意義を研究で確認するという順序で進めなければならない。本書は実践に関する本だからである。』(はじめに より)

目次

はじめに

第1章学校で起きている対立を理解する
対立が起きるのは普通のこと
暴力は問題である
ゼロトレランスはうまくいかない
包括的アプローチ
暴力とは何か?
暴力に至るきっかけ
民主主義への備え
まとめ

第2章ナラティヴの視点
ナラティヴ実践入門
人が問題なのではない
欠陥思考の副作用
複数のストーリー
ダブルリスニング
外在化する会話
問題の影響をマッピングする
脱構築
参考ケース
謝ること
カウンター・ストーリーを広げていく
まとめ

第3章カウンセリング
学校でのカウンセリングは学びに関するものであり、治療ではない
対立コーチング
ナラティヴによる対立コーチング
参考ケース
ルールを脱構築する
トラウマへの対応
まとめ

第4章メディエーション
関係性のオルタナティヴ・ストーリーを探し出す
ナラティヴによるメディエーションのプロセス
参考ケース
まとめ

第5章ピア・メディエーション
ピア・メディエーション入門
ピア・メディエーションの過程
ピア・メディエーションのトレーニング
まとめ

第6章修復会議を開く
規則違反に罰則を適用することの問題
修復的司法の考え方
修復会議の原則
参考ケース:修復会議
まとめ

第7章修復的実践
問題改善の原則
参考ケース:「押した」
修復過程
修復的対話のガイドライン
まとめ

第8章サークル会話
サークル会話の背景と目的
参考ケース
まとめ

第9章秘密いじめ対策隊
いじめとは何か?
いじめのストーリー
いじめへの一般的なアプローチ
秘密いじめ対策隊
参考ケース
社会的学習活動
まとめ

第10章ガイダンス授業
ガイダンス授業で抑圧行為についての意識を高める
ガイダンス授業におけるナラティヴ原則
問題にインタビューする
受け入れるか、抵抗するか
まとめ

第11章「暴力に向き合う」グループ
暴力行動を変化させる上でグループカウンセリングには
 どんな意義があるか
なぜアンガーマネジメントではないのか?
「暴力に向き合う」グループとジェンダー
「暴力に向き合う」グループカウンセリングの原則
「暴力に向き合う」グループのプラン
まとめ

第12章すべてを一つにまとめ上げる
個々の糸を結び合わせる
正しいアプローチを選ぶために
必要なトレーニングは何か?
誰が決定を下すか? 誰が相談を受けるか?
最後に

訳者あとがき
文 献
索 引

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