質的研究・混合研究法をサポートするテクノロジー

統計を用いたい方は多くの場合、SPSSに代表される統計解析ソフトウェアを使用します。ソフトウェアを使うことで、より便利に素早く正確な計算が可能になります。質的研究や、それを含む混合研究法に取り組む方を支援するソフトウェアも提供されています。QDA(Qualitative Data Analysis)ソフトウェアまたはCAQDAS(Computer Assisted Qualitative Data Analysis Software)などと呼ばれるもので、最近ではデータ管理のプラットフォームとしても活用されるようになってきました。

 

さまざまな形式のデータを一か所で

こうしたソフトウェアは、質的データの整理、分析を効率的に行うことを目的としています。まず、テキストや音声・動画、画像などの異なる形式のデータを一か所で管理することができます。文献はPDFで、音声はメディアプレイヤーで、アンケートはExcelで・・・というように、いくつものツールを行き来することなく、QDAソフトウェアの世界の中で管理、整理、分析することができます。

 

全体と部分を行き来し、研究者の探索を支援

分析の主なプロセスは「コーディング」と呼ばれますが、これは注目したいデータにラベルをはる作業で、質的データ分析のキモとなる部分です。QDAソフトウェアは、この作業を自動的に行ってくれるものではなく、研究者がより簡単に、より短時間でコーディングを行えるよう支援する、便利な文房具のような役割を果たします。最近では自動コーディングの機能を備えている製品もありますが、最終的には研究者の判断、解釈を加えられる仕組みとなっています。

ソフトウェアを活用することで研究者は、俯瞰的な視覚化(全体)と実際の記述(部分)を自由に行き来しつつデータを探索し、理解し、解釈し、価値ある知見や発見をすることが可能となります。

 

記憶の限界からの解放

また、現在研究やビジネスで使われるデータ量は、人間の記憶の限界をはるかに超える量となっています。「どこかで見た」とか、「この考えの元になったデータは何だったか」など、自身の記憶に頼るには限界があります。QDAソフトウェアは分析の対象となるデータと、自身の考察や作業記録など、さまざまな情報を自在に紐づけ、検索することができます。決して忘れない秘書を持つようなもので、見落としを防ぎ、より重要なことに時間を費やせるようになります。

 

作業を記録し、他者との共有を容易に

ソフトウェアを使うもう一つのメリットは、作業内容が記録されることです。例えば複数人で一つのプロジェクトに取り組む場合など、作業者の情報などが記録されていれば比較や統合することも容易になります。

また、同じデータを用い、異なる角度の研究に取り組む場合など、前の研究に関連する情報がすべてまとめっていますので、素早く成果をあげることができます。

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