混合研究法におけるテキストマイニングの活用

混合研究法 2022 年 1 巻 3 号 p. 169-179
著者:
大河原 知嘉子

キーワード: テキストマイニング、混合研究法、文献検討

抄録

デジタルツールの発展やソーシャルネットワークの普及に伴い、膨大な電子化された文書情報が様々な場面で生み出され、蓄積されている。テキストマイニングはこれまで人の目で読み、人の手により分類され、理解されてきた定性的なデータに対して定量的な分析を行い、形式化されていない膨大なテキストデータから新たな事実や傾向、規則性を見つけ出す手法である。

近年テキストマイニングを用いた混合型研究論文は増加傾向にある。本論文では、今後混合研究法で活用されていくことが見込まれるテキストマイニングを活用した混合型研究論文の日本語文献について、『混合研究法の手引き-トレジャーハントで学ぶ研究デザインから論文の書き方まで-』(フェターズ & 抱井, 2021 ) における「混合研究法宝探しを楽しむための手がかり」の混合型研究の構成要素の一部に基づいて検討した。具体的には、検討対象となった5文献について、混合研究法を使用した理由、研究デザイン、テキストマイニングの役割と使用したソフトウェア、統合に関する記載、混合研究法への示唆の5つの視点に基づいて、テキストマイニングを活用した混合型研究論文としてどのようにまとめられているかを解説した。また、著者のテキストマイニングを活用した混合型研究論文執筆経験を通して得た気付きについても併せて議論した。

その結果、混合研究法のなかで多様な研究デザインやテキストマイニングソフトウェアが使われていることや、テキストマイニングが質的・量的分析の役割にとどまらず、多様な活用をされていることが明らかになった。また結果の統合としてジョイント・ディスプレイを用いた統合も行われていた。

掲載元: 混合研究法におけるテキストマイニングの活用

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