ブラジルの体育指導ガイドラインにおけるレジャー・レクリエーションに関する調査にMAXQDAを利用 – 内容分析の例

MAXQDA Research Blog 翻訳版

Guest post by Fernando Resende Cavalcante (Monday, April 27, 2020)

この記事の目的は、ブラジル体育教育のガイドラインにおけるレジャーとレクリエーションについて分析した研究プロジェクトの内容分析(Bardin 2016)フェーズにおいて、MAXQDAをどのように使用したかを示すことです。

レジャーとレクリエーションについての調査は、ブラジルの体育教育とこのテーマの歴史的関係によって確立されました。20世紀の初めに専門家による分析が始まり、学部課程に組み込まれています。これらのガイドラインとこの特定のテーマは、今日のブラジルに1440あるすべての体育コースの方向性の基礎となるものであり、調査には大きな意味があります。

ブラジルのレジャーとレクリエーション

本研究は、分析対象の文書を理解する上での解釈の重要性や複雑さを考慮し、質的(Creswell 2010)な研究であると特徴づけられました。研究手法として内容分析を用いましたが、これは「メッセージの内容を記述するための体系的かつ客観的な手順を用いた一連のコミュニケーション分析手法」とされています(Bardin 2016)。Lawrence Bardinが内容分析技法に関する提言を行っている唯一の著者というわけではありませんが、本文中の分析はこの著者の具体的な提言に基づいています。

この手法は次の3つのフェーズから構成されています。

  1. 「予備的分析」
  2. 「資料の探索」
  3. 「結果の検討」

内容分析研究プロジェクトの全フェーズを通じてMAXQDA を使用する

フェーズ1:予備的分析

予備的分析は研究プロジェクトを組み立てる段階です。これは、研究を運用可能なものにし、アイデアを体系化して分析を適正に展開するためのものです。ここで研究者は対象の資料を選定し、その仮説と目的を精緻化します。ブラジルの体育教育に関する以下の文書を選択しました: 
1987年のガイドライン番号215
2004年のガイドライン番号58
2018年のガイドライン番号584
これらの文書はすべて MAXQDA にインポートされました。


 ヒント: この段階での著者の推奨事項の一つに「フローティング・リーディング」があります。これは、分析の枠組みを構築するために研究者が文書の全体的な印象や性質を把握することです。


フローティング・リーディングのプロセスの後、研究者はブラジルの体育教育文書をさらに調査し、「レジャー」(青)と「レクリエーション」(緑)という用語を調べ、MAXQDAを使ってコード化しました。その後すぐに、MAXQDAの[文書外観表示]機能を使って、このプロセスの結果を可視化しました。

MAXQDAの文書概観表示機能を使ったガイドライン文書の可視化
Source: Search data

この MAXQDA 視覚化ツールを用いて、分析した文書の中のレジャーやレクリエーションの有無を確認し、分析プロセスの支援に役立つ重要な解釈を得ることができました。最初のガイドライン(1987年)ではテーマの存在感が弱く、その後、第2のガイドライン(2004年)では大きく成長し、最後に示した現行のガイドライン(2018年)では後退していることが見て取れます。

フローティング・リーディングから、テキストの分析のためのルールが作られ、分析された文書の理解が深まったことで、「資料の探索」の段階に入りました。

第2段階:資料の探索

このフェーズでは、「予備的分析」で出てきた方向性からコーディング作業を行います。コーディング作業では、元データである資料のテキストを特定のルールに従って変換していきます。この変換によって、コンテンツをコードで表現することが可能になります(Bardin 2016)。文書のコーディングプロセスは、レジャーとレクリエーションのための推奨事項を理解しようとすることから始めました。

MAXQDAでのコーディング作業
Source: Search data

コード化されたセグメントは、それぞれの文書の特徴から生まれたものであり、フローティング・リーディングの過程で生まれた印象を考慮に入れたものでもあります。それにもかかわらず、コーディングのためのルールは資料の探究の中で変更されたり、除外されたり、あるいは新たに作られたりすることがあります。これらはすべて、研究における研究者の能動的な役割の一部と言えます。

フェーズ3:結果の検討

コード化のプロセスが終わると、「結果の検討」が残ります。本プロジェクトでは、この段階でコードの見直しを行い、研究目的に応じていくつかのコードを除外したり、また一方で、他のコードを含めたりしました。その後、MAXQDAのコードマトリクス・ブラウザ機能を用いて、作成したコードと、各文書におけるコードの欠落や頻度を特定しています。

MAXQDA のコードマトリックス・ブラウザ: コードとコード付きセグメントの有無
Source: Search data

このツールは、各文書に割り当てられたコードを広く見ることができます。この視覚的なツールは、ブラジル体育教育の各ガイドラインにおけるレジャーとレクリエーションの道筋の理解に大いに役立ちました。

この結果に基づいて研究の最終段階では、MAXQDAのMAXMaps機能を用い、そのプロセスを説明し、探究することができました。

MAXMapsで作成したコードマップ
Source: Search data

研究のための有意で有効なデータの定義から、分析過程を凝縮し、研究に関する分析・解釈・推論を浮き彫りにする図の精緻化までを行いました。

結論

Bardinは上記のような段階を構成する技術を定義していますが、研究の旅は見かけほど直線的ではありません。最終段階にたどり着いた研究者が最初の段階に戻らなければならないこともありますが、それはすべて研究の内容や研究がどのように発展しているかによるものです。したがって、研究者にとっては、研究目的を基準点として、余計なものを削ぎ落としたり、必要に応じて追加したりして、研究を可能な限り明確にすることが不可欠なのです。

最後に、MAXQDAは分析を行う上で有効で重要や役割を果たしました。提案した方法論を用いたデータ分析に容易に適応し、内容分析の全フェーズに直感的に取り入れることができるため、MAXQDAは研究者にとって有用な機能を備えた重要なツールと言えます。

National Congress of Brazil, Photo by: Bruno Pinheiro

References

Bardin, L. Análise de Conteúdo. 6th ed. São Paulo: Edições 70; 2016.
Creswell, JW. Projeto de Pesquisa: métodos qualitativo, quantitativo e misto. 3rd ed. Porto Alegre: Artmed; 2010.

About the Author

Fernando Resende Cavalcante is a student of the Graduate Program in Physical Education at the University of Brasília and a member of the Study and Research Group in Sport, Leisure and Communication at the Federal University of Goiás. Currently, the author is interested in topics related to leisure and recreation in physical education training courses.

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