ミニエスノグラフィーの教科書

ミニエスノグラフィーの教科書
現場の文脈的理解をめざすフィールドワークへの誘い

原 知章 著

単行本: 270ページ
ナカニシヤ出版
言語: 日本語
ISBN-10 ‏ : ‎ 4779518954
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4779518959
発売日:2025/9/29

書籍内容

限られた時間のなかで充実したフィールドワークをしたい人のために

丁寧な文献資料調査とさまざまなデータ収集技法を組み合わせてフィールドに迫る方法を、この1冊でやさしく、体系的に入門してみませんか! 
本書を片手に、具体的かつ段階的にステップを通して調査を進め、あなたの論文を書き上げてみよう!

ミニエスノグラフィーとは、時間的な制約やその他の制約があるために本格的な参与観察を行なうことができない状況のなかで、研究として実現可能な対象やテーマを設定したうえで、現場と現場をとりまく文脈をなんとか理解しようと試みて、新しい仮説を生み出そうとする調査方法なのです。仮説を生み出すということは、現実についての概念的なモデルを構築することであり、それは地図を作成する営みに似ています。このたとえに即していえば、ミニエスノグラフィーは、エスノグラフィーのような精緻で包括的な地図は作成できないかもしれないけれども、私たちが現実を把握するうえでそれなりに役立てることができる解像度で部分的な地図を作成しようとする試みだといえます。(「はじめに」より)


「はじめに」をこちらから立ち読みできます

目次

はじめに
 1 エスノグラフィーとは何か
 2 ミニエスノグラフィーとは何か

 第1部

ステップ1 論文の指定字数・提出締切・形式を把握する
 1 論文の指定字数などを把握して、研究のスケジュールを組み立てる
 2 論文の形式とスタイルガイド

ステップ2 文献資料調査を行なう
 1 「頭の中の検索」をする
 2 研究のキーワードの定義を調べる
 3 文献資料を探す
 4 先行研究を読み込む
 5 対象とテーマの「背景」に関する文献資料調査を行なう

ステップ3 文献資料調査報告書を作成する
 1 アクター分析を行なう
 2 文献資料調査報告書を作成する
 3 代替プランを考える

ステップ4 予備調査を行なう
 1 予備調査の準備
 2 予備調査の実施

ステップ5 予備調査報告書を作成する

ステップ6 本調査を行なう
 1 フォーマル・インタビューの準備
 2 フォーマル・インタビューの実施
 3 参与観察の実施

ステップ7 論文アウトラインを作成する
 1 論文アウトラインの構成要素
 2 現場調査で得たデータを分析する
 3 考察を行なう
 4 スライドを作成する

ステップ8 補足調査を行なう

ステップ9 論文を執筆する
 1 論文アウトラインの見直し
 2 論文要旨の作成
 3 論文本体の執筆

ステップ10 草稿を修正・加筆して、論文を完成させる

ステップ11 研究発表を行なう

 第2部

【解説1】狭義のエスノグラフィーと広義のエスノグラフィー

【解説2】3つの認識論的立場:実証主義・解釈主義・批判的実在論
 1 実証主義(positivism)
 2 解釈主義(interpretivism)
 3 批判的実在論(critical realism)
 4 アブダクション
 5 批判的実在論のエスノグラフィー:『ハマータウンの野郎ども』
 6 実証主義・解釈主義・批判的実在論の共在

【解説3】3つの理論的視座:方法論的個人主義・方法論的集合主義・社会構築主義
 1 方法論的個人主義(methodological individualism)
 2 方法論的集合主義(methodological collectivism)
 3 社会構築主義(social constructionism)
 4 社会と文化と個人の関係を考える

【解説4】反証主義とパラダイム論
 1 価値中立的な立場から社会現象を認識できるか
 2 カール・ポパーの反証主義
 3 トーマス・クーンのパラダイム論
 4 どちらの立場を支持しますか?

【解説5】KJ法とブリコラージュ
 1 ブリコラージュとエンジニアリング
 2 戦略と戦術
 3 KJ法とW型問題解決モデル
 4 野外科学とは何か
 5 原始思考と野生の思考
 6 KJ 法の存在論と認識論
 7 野外科学を再考する
 8 ミニエスノグラフィーと「すり合わせ」

【解説6】「コミュニティ」とは何か
 1 ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
 2 都市化とコミュニティ
 3 想像されるコミュニティ
 4 社会脳仮説とダンバー数
 5 コミュニティの再定義
 6 日本におけるコミュニティ政策の展開
 7 社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)
 8 多様化する「コミュニティ」

【解説7】文化相対主義をめぐって
 1 文化相対主義の意義
 2 文化相対主義をめぐる議論
 3 どの立場を支持しますか?

【解説 8】「資源」としての文化
 1 文化資源・文化財・文化遺産
 2 資源人類学
 3 民俗学
 4 文化政策学
 5 文化経済学
 6 文化コモンズ論
 7 文化資源学
 8 文化資源を問いなおす

【解説9】文化は「進化」するのか
 1 古典的な文化進化論
 2 歴史的個別主義と新進化論
 3 文化進化研究の新たな展開
 4 「進化」と「進歩/発展」を区別する
 5 情報としての文化

【解説10】標準社会科学モデルをこえて
 1 「標準社会科学モデル」とは何か
 2 インセスト・タブーの謎
 3 キブツをめぐる論争

【解説11】「持続可能な開発」と「持続可能性」
 1 「開発」と「発展」
 2 「発展」と「成長」
 3 近代化論
 4 『成長の限界』の衝撃
 5 内発的発展論
 6 持続可能な開発
 7 持続可能な開発の3つの柱
 8 持続可能性とクリティカルな資本
 9 世界と日本の持続可能性
 10 Aさんの研究テーマについて

【解説12】ウェルビーイングと文化
 1 スティグリッツ報告書
 2 OECD
 3 国連
 4 日本
 5 ウェルビーイングと文化
 6 ウェルビーイングと文化的持続可能性

【解説13】自然の「価値」とは何か
 1 ミレニアム生態系評価と生態系サービス
 2 生態系と生物多様性の経済学(TEEB)
 3 生態系サービスへの支払い(PES)
 4 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学 ‒ 政策プラットフォーム(IPBES)
 5 自然の寄与(NCP)
 6 どのように考えますか?

【解説 14】「里山」について考える
 1 里山ルネッサンス
 2 公共政策における「里山」
 3 「里山イメージ」に対する批判
 4 どのように考えますか?

ミニエスノグラフィーの実例について

あとがき
参照文献

 

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