転職の意味の探究

質的研究によるキャリアモデルの構成

転職の意味の探究
質的研究によるキャリアモデルの構成

著者:安藤 りか
A5判 164ページ
出版社: 北大路書房
言語: 日本語
ISBN 978-4-7628-3052-5
発売日: 2019/2/14

書籍内容

転職に対する否定的な認識に一石を投じ,心理‐社会‐文化的文脈から検討。多様なキャリアモデルを整理したうえで,頻回転職者たちの語りを質的研究法で分析。さらに新卒で正社員として就職した企業で定年まで働く「一企業キャリア」と対照をなす,わが国に親和的な「善財童子キャリアモデル」の提示に挑戦する。

目次

序章 転職と質的研究
1 本書のテーマ
 1.1 転職研究における「冷淡な傾向」
 1.2 4つの問い
2 質的研究
 2.1 質的研究とは何か
 2.2 SCATとは何か
 2.3 質的研究の認識論
Column1 働く人の4,5人に1人は頻回転職者

第1章 転職研究における転職「観」の変遷―“逸脱”から心理・社会・文化的文脈に基づく多様な解釈へ
1.1 転職の定義
 1.1.1 わが国の研究における定義
 1.1.2 海外の研究における定義
1.2 線形キャリアモデルにおける転職
 1.2.1 線形キャリアモデルの誕生と普及
 1.2.2 線形前期キャリアモデルの転職観
 1.2.3 線形後期キャリアモデルの転職観
1.3 非線形キャリアモデルにおける転職
 1.3.1 非線形キャリアモデルの特徴
 1.3.2 バウンダリーレスキャリアの転職観
 1.3.3 プロティアンキャリアの転職観
 1.3.4 バウンダリーレスキャリアとプロティアンキャリアの結合モデルの転職観
1.4 非線形キャリアモデルの発展的モデルと頻回転職
 1.4.1 種々の発展的モデル
 1.4.2 発展的モデルの研究の特徴
1.5 わが国における頻回転職の研究
 1.5.1 成功する頻回転職
 1.5.2 精神病理の結果としての頻回転職
 1.5.3 不安定就業としての頻回転職
 1.5.4 頻回転職に関する研究の課題
Column2 「転職=悪玉」論は明治時代から

第2章 転職によって構築されていくアイデンティティ―頻回転職を経たA氏(小学校教諭)の語りの分析
2.1 本章の問題と目的
 2.1.1 Erikson理論と職業選択
 2.1.2 古典的な移行モデルの特徴
 2.1.3 「学校経由の就職」の後退
 2.1.4 卒業と就職の分離による「シューカツ」の登場
 2.1.5 「古典的な移行モデル」の再検討の必要性
 2.1.6 職業選択に関する研究
 2.1.7 本章の目的
2.2 方法
 2.2.1 質的研究アプローチの採用
 2.2.2 研究参加者
 2.2.3 データ採取
 2.2.4 データ分析
2.3 結果と考察
 2.3.1 ライフストーリーの分析
2.4 総合的考察
 2.4.1 職業選択とアイデンティティ達成の異なるプロセス
 2.4.2 職業選択の長期的スパンによる検討の必要性
 2.4.3 「肯定的就業リアリティ」への注目
Column3 最近の大学のキャリア教育科目

第3章 頻回転職のキャリアモデル「善財童子キャリア」の構成―13回の転職を経たB氏(団体職員)の語りの分析
3.1 本章の目的
3.2 方法
 3.2.1 研究参加者
 3.2.2 データ採取
 3.2.3 データ分析
3.3 結果と考察
 3.3.1 受験圧力への反発としての志望大学決定
 3.3.2 大学4年間を貫くスチューデント・アパシーと留年
 3.3.3 留年時(5年生)における教職選択
 3.3.4 教職適性をめぐるアイデンティティの問い
 3.3.5 学生アイデンティティの継続と教職からの撤退
 3.3.6 頻回転職の開始と国語科教師への同一化希求
 3.3.7 教職への再挑戦と再挫折
 3.3.8 災害の目撃を契機とする農業への職業興味のシフト
 3.3.9 農業キャリアの開始と青年海外協力隊員として得た「助けてもらう力」
 3.3.10 W市への移住と現職までの道のり
 3.3.11 B氏のライフストーリー
3.4 総合的考察
 3.4.1 頻回転職に対するB氏の認識の分析
 3.4.2 B氏のキャリアのメタファーとしての「善財童子キャリア」モデル
 3.4.3 「善財童子キャリア」の位置付け
Column4 東大寺の大仏からコンピューターゲームまで―隠れた主役の善財童子―

第4章 「善財童子キャリア」に潜在する意味の検討―2名の頻回転職者(A氏とB氏)の対話的語りの分析
4.1 本章の目的
4.2 方法
 4.2.1 研究参加者
 4.2.2 A氏とB氏のキャリアにおける稀少な共通性と対称性
 4.2.3 フォーカスグループの採用
 4.2.4 データ採取
 4.2.5 データ分析
4.3 結果と考察
 4.3.1 キー概念としての「天職」と「漂泊」
 4.3.2 天職に関する先行研究とその検討
 4.3.3 漂泊に関する先行研究とその検討
 4.3.4 インタビューの全般的状況
 4.3.5 天職に関する両氏の語りとその分析
 4.3.6 漂泊に関する両氏の語りとその分析
4.4 総合的考察
 4.4.1 両氏の共通性(善財童子キャリアの内面的現実としての両氏に共通する認識のあり方)
 4.4.2 両氏の対称性
 4.4.3 善財童子キャリアモデルにおける両氏のキャリアの位置づけ
Column5 鶴屋南北・テレコ・質的研究

終章 「善財童子キャリア」モデルが問うもの 
1 本書における発見
2 「善財童子キャリア」モデルの意義
3 今後の課題
4 読者への問い:結びにかえて

引用文献
人名索引
事項索引
あとがき

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