質的研究のための「インター・ビュー」

質的研究のための「インター・ビュー」

スタイナー・クヴァール(著/文) 能智 正博・徳田 治子(翻訳)

A5版 268頁
出版社: 新曜社
言語: 日本語
ISBN 978-4-7885-1475-1
発売日: 2016/4/19

書籍内容

インタビューは、質的研究の要とも言える重要な技法です。誰にでも出来そうに思えますが、質の高いインタビューをするためには高度な訓練と周到な準備、実施に当たっての細心の配慮が求められます。著者クヴァールは、日本でもよく知られたインタビュー研究者で、単にインタビューの具体的なノウハウを解説するだけでなく、哲学、社会学、教育学、心理学など、多岐にわたる分野の重要な研究に触れながら、インタビューがどういう営みであるのかを丁寧に解説しています。インタビューの初心者にとって必読書であるだけでなく、経験者にも、研究を振り返り発展させる契機となる本です。


本書は、インタビューを行なうためのこうした問題のすべてを、きわめて詳細に扱っている。本書の土台には、インタビューを実施したり、インタビューとその実践について執筆したりしてきた筆者の長い経験がある。「SAGE質的研究キット」の一冊として、本書はデータ収集を中心的なテーマにしているが、この特定のかたちのデータを分析し評価する際の具体的な問題にも注目している。(本書について(ウヴェ・フリック)より)

目次

編者から(ウヴェ・フリック)
「SAGE 質的研究キット」の紹介
質的研究とは何か
質的研究をどのように行うか
「SAGE 質的研究キット」が扱う範囲
本書について(ウヴェ・フリック)
はじめに
本書のねらい
本書の構成
本書の焦点
謝  辞

1 章 インタビュー調査ことはじめ
 3 つのインタビュー事例
 歴史と社会科学のなかでのインタビュー調査
 方法論的・倫理的諸問題

2 章 インタビュー実践の認識論に関わる問題
 質的な調査インタビューにおける理解の様式
 質的な調査インタビューにおける力関係の不均衡
 哲学的対話と臨床面接の間に位置する調査インタビュー
 インタビュアーは鉱夫か旅人か
 インタビューの知に関わる認識論

3 章 インタビュー実践の倫理的課題
 道徳的探求としてのインタビュー実践
 インタビュー研究全体を通じた倫理的課題
 倫理ガイドライン
 インタビュー調査におけるミクロな倫理とマクロな倫理

4 章 インタビュー調査を計画する
 インタビューを使った探求の7 段階
 インタビュー調査のテーマ設定
 インタビュー調査のデザイン
 混合法
 方法と職人技のはざまにあるインタビュー実践

5 章 インタビューを実施する
 成績について教室で行なわれたインタビュー
 インタビューの場の設定
 インタビューの台本作り
 インタビュアーの問い
 追加質問の技法

6 章 インタビューの多様なかたち
 インタビューの対象者
 インタビューの諸形式
 直面的なインタビュー

7 章 インタビューの質
 ハムレットのインタビュー
 インタビューの質
 すぐれたインタビュアーであるための条件
 インタビュー調査の質に関してありがちな異論
 誘導的な質問
 学術的責任と倫理的責任の緊張

8 章 インタビューを文字に起こす
 話し言葉と書き言葉
 インタビューを記録する
 インタビューの文字起こし
 文字起こしの信頼性と妥当性
 インタビューの分析のためのコンピュータ・ツール

9 章 インタビューを分析する
 インタビューの分析をインタビュー研究に統合する
 分析の諸様式
 意味に注目した分析
 言語形式に注目した分析
 ブリコラージュとしてのインタビュー分析
 理論的な読みとしてのインタビュー分析

10 章 インタビューから得られた知の妥当化と一般化
 インタビューから得られた知の客
 オブジェクティヴィティ
 観性
 インタビューから得られた知の信頼性と妥当性
 職人性の質としての妥当性
 コミュニケーションによる妥当性とプラグマティックな妥当性
 インタビュー調査からの一般化

11 章 インタビューの知を報告する
 インタビューの報告の対照的な受け取り手
 インタビューの報告を仕上げる
 インタビューの報告の質を高める

12 章 インタビューの質のさらなる向上に向けて
 インタビュー実践の職人技を学ぶ
 インタビューの知の価値
 インタビューの知の認識論と倫理についての概念

 訳者あとがき
 用語解説
 文 献
 人名索引
 事項索引

 

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